いよいよ日本へ帰国することになった2010年4月。
大家さんがペットとして飼っていたフトアゴヒゲトカゲと離れ離れになる日が刻々と近づき、どうしようもなく寂しい思いをしているところに・・・大家さんが「トカゲ、連れて帰らない?」と。
調べてみると、アメリカから持ち出した動物をもう一度持ち帰るには、いろんな手続きが必要ですが、国外に出たきり戻ってこない動物に関しては、特に何の手続きも必要ないとのこと。
日本に問い合わせても、爬虫類は検疫対象ではないので日本に持ち込むのに問題はないそう。
次に航空会社に電話したところ、ANAだけが爬虫類を乗せて飛んでくれるという返事をくれました。(残念ながら、ANAもこの後しばらくして爬虫類は乗せてくれなくなりました。)当時、ボストンから日本へはANAの直行便はありませんでしたので、まずニューヨークまではバスで移動し、JFKから成田へ飛びました。
動物を運ぶにあたってはIATAの認めるケージを使用する必要がありましたので、早速ネットでIATA認定のケージを購入しました。一番小さいのでも小型のワンちゃん用の大きさでしたので、トカゲ一匹には広すぎるものでしたが。
ボストンからニューヨークまでの移動のバスも、実はペット持ち込みは禁止だったらしいです。それを調べずにバスターミナルへ行ってしまったのですが、「ペットは乗せられないよ」と言われて呆然と立ち尽くす私に、バスのドライバーは「まあ、今回だけは大目に見るけど、帰りは乗れないかもしれないよ。」と最終的には持ち込みをOKしてくれました。アメリカのそういうところ、好きです。
出発前には、前もって連絡しておいたUSDAのニューヨークオフィスの人が二人、わざわざJFKまで出向いてくれてトカゲのケージや種類等をチェックしてくれました。
この二人、すごく親切でした。今でも彼らがトカゲのケージを覗き込んで最初に言ってくれた言葉を覚えています。
Oh, you look comfy. 🙂
それからANAのカウンターへ行き、日本人の女性が空港内で動物のケージを検査する場所へ案内してくれました。そこにいた人は手つきが乱暴だったので、見ていた私はトカゲが驚いていないかとハラハラしました。せっかく綺麗に敷いておいたタオルなどが棒で引っ掻き回されてグチャグチャになっていたので、許可を得て綺麗に直しました。
トカゲの搭乗に支払ったのは260ドル。空調も管理してくれるとのことでしたが、何せ変温動物ですから、ケージの片側に使い捨てカイロを置き、トカゲが適当な温度の場所に移動できるようにしておきました。
飛行機のなかでは、離れたところに乗っているトカゲのことが気がかりでなりませんでした。成田空港に到着してケージを受け取り、タオルの上で悠々と寝ているトカゲを見て本当にホッとしました。
こうしてトカゲは遥々海を渡って日本へやってきました。あれから早9年。すっかりおじいちゃんになって、目もほとんど見えてないし耳も聞こえてない、歩くのも覚束なくなってきましたが、よく食べよく眠り、元気に過ごしています。
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