ニューヨークの高層マンションの「高さ」競争~もっと上へもっと高く

日々のニュースから

ここ数年、ニューヨークで高層マンションの高さ争いが激化している様子です。

ニューヨークのマンハッタンにあってそこに住む人々のオアシスとなっているセントラルパークの周りには高いビルが立ち並んでいます。そのなかでひと際目を引くのが432 パークアヴェニュー(432 Park Avenue)。高さは1,396フィート (425.5 m)で、ニューヨークでは1ワールドトレードセンター(One World Trade Center)に次いで2番目、住居用の高層マンションとしては世界で一番高い建物です。

ここで私の興味の引いたのが、デベロッパー(開発業者)たちが少しでも高いビルをつくるために講じている巧妙な手段

ニューヨークでは建物の高さに基準が定められているのですが、エレベーターのモーターを配置するための機械室などが配置された非住居部分は「高さ」には算入されません。デベロッパーたちが目をつけたのはそこ。つまり、この非居住空間を大きくとることによって、法で認められているよりも高い建物をつくることができるのです。

ちなみに、432 Park Avenueの88のフロアのうち、4分の一は居住空間ではありません。

そんな風に法の目をかいくぐってまでも、彼らは少しでも高いビルを建てたいんですね~。

このような高層マンションはシカゴやマイアミにもあり、それぞれ建築に関する規制もあるのですが、法の目をかいくぐってまで高さを競っているのは、少なくとも現時点ではニューヨークシティに限れらているようです。

このような高層マンションの建設に批判的な意見も当然あります。そもそも、このような高層マンションは当然高額なので、一般の人たちどころか、私たちの言うところの「一部の富裕層」の大多数にすら手が出ません。

ちなみに先ほど挙げた432 Park Avenue、12月に売れた95階の部屋は $30.7ミリオンドル(約)34.35億円だそうです。

また、このタイプのマンションを購入している人たちはこれらをセカンドハウスとして所有しているだけで、ほとんどの期間はそこに居住していないので、地方税(local tax)や州所得税(state income tax)を支払う義務がありません。

これに関しては市が500万ドル以上の価値のある建物に対しては毎年税金をかけるという提案をしましたが、ロビー活動による反対にあい、購入時に一度だけ支払うという形に落ち着いたようです。

さらに、高くからの眺めだけを目的とする人工的な高層マンションは、ニューヨークの都市計画のコンセプトと相容れないという批判もあります。

そこで、市の当局は機械室等を建物の「高さ」に算入しない代わりに、機械室を「高さ」として利用しようとするプロジェクトにペナルティを科すという提案をしました。

これに対しデベロッパーたちは、新しい規則はあまりも制限がきつすぎるし、工学の発展にともなう世の流れ——例えば再生エネルギーを貯蔵するための大型バッテリーを配置する広い空間の必要性など——に相反する。そもそも、現在の非居住空間は、ビルに当たる風を逃がす役割を担うため欠かせないもので、これがなくなるとビルはまるで船か何かにのっているかのようにかなり揺れるだろう、などと反論しています。

議論が激化するなか、ミッドタウンに新たに150フィート(約45.7メートル)の非居住空間を含む高さ510フィート(約155メートル)のマンション建設の計画があるそうです。全高の約3分の一が非居住空間のマンション・・・土地がひどく狭いからこその構造なのかもしれませんが、そこまでして「高さ」を求める必要が果たしてあるのでしょうか。いえ、あるからこそ計画が持ち上がるわけですが、高さ競争ばかりが激化しているなかで建ったビル群、そのトレンドが去ってしまったらどうなるんでしょう。なんて余計なお世話かしら。

ところでさきほど挙げた、432 Park Avenueにはまだ何部屋か空きがあるようです。ペントハウス(最上階)は82,000,000ドル(91億円くらい?)で売りに出ています。(このページの下方に部屋からの眺めの動画もあります)確かに高いところからの眺めはすごいですね。お値段もすごいですけど。私は高所恐怖症だから、ここはちょっと買えないかな~:p

vocabulary 今日の単語

loophole <名詞/C> (法や規制などの)抜け道

The building and nearby towers are able to push high into the sky because of a loophole in the city’s labyrinthine zoning laws. <New York Times>

lavish <形容詞> 豪華な

The towers benefiting the most from the zoning quirk have all sprouted during the past half-decade: enormous glass and steel buildings with lavish condominiums that sell for millions of dollars.  <New York Times>

この単語に関しては、純粋に私自身の忘備録です。すみません。

というのも、The Touristという映画のなかで、ディナーへ出かけようとドレスアップしたアンジェリーナ・ジョリーに向かってジョニー・デップが”You are ravenous(お腹ぺこぺこだよ).”、それに対してアンジェリーナが”Dou yon mean ravishing(「綺麗」って言いたいの〉?”と答えるシーンがあり、それを見て以来、なぜかravenous、 ravishing、さらにはlavishまでもがなぜか私の「混乱しやすい単語」リストに加わってしまったからです。

ちなみに私はこのThe Touristという映画が好きです。機会があれば是非ご覧になってみてください。

game (動詞)(目的を達成するためにずる賢い方法などを使って)を操作する

In New York, Mayor Bill de Blasio said the proposed rules would “stop luxury developers from gaming the system.” <New York Times>

名詞のgameは「試合」「ゲーム」のほか、「獲物」という意味でもよく使われます。ここでは「~を操作する」という動詞で使われています。

well-heeled <形容詞> 裕福な provided with money

きちんとした靴を用意できるということは、つまり裕福であるということ。そこから来た言い回しのようです。

“I ain’t so well-heeled right now.” 

Eva Wilder Brodhead’s ”Bound in Shallows”

be devoid of sth  ~を欠いている

It would top out at 510 feet tall, thanks to a 150-foot-tall midsection devoid of residences.  <New York Times>

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