アメリカで歯科矯正 #2 ブレース装着から外れるまで

アメリカ暮らし

費用

私はサンフランシスコにある大学の歯学部の病院で研修医に矯正をしてもらったので、通常の矯正よりもかなり費用をおさえて治療することができました。私の使用した矯正装置(ブレース)は金属製のブラケット(bracket)を歯の表面に貼り付けるタイプのものでした。笑うとすごく目立ちましたが、壊れにくく歯が動きやすいというメリットがあり、費用もリーズナブルでした。

私が矯正に支払ったのは合計3000ドルちょっと。それを毎月たしか110ドルずつ分割で支払いました。分割にしても支払い総額は同じでした。

期間

ブレイス(braces)を装着してから外れるまでが2年余り、それから2か月ほどリテーナー(retainer)の調整で、合計2年半弱、月に一度通院したと記憶しています。

実は私の下の奥歯の一本は、列から外れたところに生えてしまっていました。そのためそこに隙間ができ、下の歯全体が綺麗に一本分横にずれてしまっていました。(上顎の中切歯の一本が下顎の側切歯の一本と縦に並んでいたのです。)また、上顎の前歯(中切歯)のうちの一本が横を向いて少し出っ張っていました。

ブレイスを装着してからほんの2~3か月で、前歯は真っすぐになり、下の歯も大方あるべき場所に戻りました。ぱっと見はすっかり綺麗な歯並びになっていたので、そこでやめてしまってもいいと思ったほどでしたが、矯正歯科医の観点からするとまだまだ不十分だったようで、それから1年半以上もの間、微調整のためブレイスを装着していました。

矯正が終わりに近づいた頃、私の前歯は少し大きくて、正面から見ると真ん中が広くなっていたので、ほんの少しだけ側面を削りました。削るのはほんの少しなので、エナメル質がなくなってしまうような恐れはないと言われ、承諾しました。

私の歯は最初から順調によく動いた(?)ようです。私の治療を担当してくれた研修医さんにとって、私は最初の患者でした。私は彼の研修とほぼ同時期に矯正を始め、彼とともに矯正を卒業したようなものです。彼は、私の歯が順調に動くので毎回大喜びでした。特に、子供の患者が多いなか、私は30歳を過ぎてからの矯正でしたから、彼は発表の場がある時にはよく私の症例を使っていたようです。

最初が一番痛かった

私がサンフランシスコで突然矯正を始めた一番の理由は「ヒマだから」でした。矯正をすると決めてから、抜歯や矯正装置のことなど調べはしたのですが、肝心なことを忘れていました。矯正は痛いということです。ヒマだから矯正をするなんて何て安易だったんだろう、と思ったこともありましたが、あの痛さを経験して、結果的にヒマな時で良かったと思いなおしました。

一番痛かったのは最初です。最初に、バンド(band)と呼ばれるリングの形をしたものを奥歯に取りつける必要があったのですが、そのためにまず歯と歯の間に隙間を作るため、セパレーター(separator/spacer)というドーナツ型のゴムを奥歯の隙間にぎゅっと押し込まれました。最初は何かが歯の間に挟まっている感じがするだけだったのですが、翌朝起きてみると、大変なことになっていました。

あまりに痛くて何かを噛むことなんて到底無理でした。何とか口にできるものはスープだけ。それも、うっかりスプーンが歯にコツンと当たろうものなら激痛が走るため、この時ばかりは矯正を始めたことを悔やみました。

でも、この激痛は数日でおさまりました。歯は一旦動き出すと、案外すいすい(?)動くものなのです。それ以来、月1回の通院時に器具の調整をした後の数日は多少痛みを感じましたが、それ以外は特に気になるほどの痛みはなく、普段どおりの生活ができました。

とにかく最初だけ。この時だけは我慢です

リテーナー

ブレースがはずれてからは、せっかく動いた歯が戻ってしまわないようにするリテーナーと呼ばれる器具を装着しました。これは、矯正器具とは違って食事の時などには取り外すことができます。つい装着し忘れてしまいそうですが、特にブレースを外してすぐの頃は歯が動きやすいので、食事の時以外はリテーナーを使っていたほうがいいです。

私は、この時サンフランシスコで作ってもらったリテーナーを今でも時々使っています。

お役立ちグッズ

ワックス(wax)

歯科矯正用ワックスというものがあります。ブラケットの角が当たって痛いときや、歯が動いてきてワイヤーが出っ張ってきた場合などに、その部分に丸めてくっつけておくと口の中の粘膜を傷つけずにすみます。

私は、最初病院がこれを私に渡しそびれてしまったため、ブラケットの角で口の中を何か所も傷つけてしまい、痛い思いをしました。特に最初のうちは、口の中が器具の凸凹に慣れていませんから、このワックスは必需品だと思います。慣れてくるとそのうち必要なくなりました。

ミキサー(blender)

上に記したとおり、最初に歯が動き始めた数日間、私は本当に痛い思いをしました。この時は何でもかんでもミキサーで食材を砕いてスープ状にして食べていました。これがなかったら、お腹をすかせていたことでしょう。

電動歯ブラシ

これは別に矯正しているからあったほうがいいというわけではありませんが、矯正していると特に歯が磨きにくいため、私はこの頃に電動歯ブラシを使い始めました。電動歯ブラシは手で磨くのに比べると短時間で綺麗に磨けるので、これ以来ずっと使っています。

歯の間を水で洗浄するタイプの口腔洗浄器

矯正器具を装着していると、とにかく歯磨きがしにくいです。特に歯と歯の間。フロスもいいですが、ワイヤー(archwire)が邪魔して使いにくいので、パナソニックやフィリップスが出しているような、歯の間を水で洗浄するタイプの洗浄器があると便利だと思います。

マスクで隠す?・・・いえいえ、それはよしましょう

矯正器具は結構目立ちます。それを隠すためにマスクをすればいいのでは?と思いがちですが、アメリカではあまりマスクをする習慣がありませんから、マスクなんてしていたら、余程の病気か不審者か何かだと思われてしまうかもしれません。

私も始める前は気になるかなと心配したんですが、実際始めてみると案外平気でした。

目立ちにくいタイプもたくさんあります。ブラケットが陶器やプラスチックでできているもの、なかにはワイヤーまで白いタイプなどもあります。もちろん、歯の裏側にブラケットを貼り付けるやり方もありますし、マウスピース型の器具などもあります。知り合いの一人がこのマウスピース型を使っていましたが、まじまじと見ない限り矯正していることが分からないほどでしたよ。

矯正してよかった

多少痛い思いもしましたが、私は矯正をして本当に良かったと思います。まずアメリカでは歯並びをすごく気にします。私は後にボストンの学校へ通ったのですが、この時に「歯並びが良くてよかった」と思いました。

また、歯並びが良くなって歯磨きが楽になりました。歯に対する意識も変わったので、虫歯にもならなくなりました。

私は大学病院で治療をしましたが、担当の研修医さんには必ず指導教官がついているので、不安もなく治療を進めることができました。おかげで費用がかなり抑えられたわけですが、大学病院でなくても、アメリカは矯正が当たり前の国ですから、日本に比べると費用はずっとリーズナブルです。もし迷っている方があれば、ぜひおすすめします。

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